MBTIとはなにか?
今,日本や韓国で性格診断テストMBTIが人気となっています.韓国のアイドル界では自分の性格タイプを公表したり,欧米では自己紹介の際にタイプを開示したりしているようです.
そもそもMBTIとは,個人が世界をどう認識して,情報を処理して物事の判断を下すのかについての心理的な傾向を判定するのを目的として確立された手法です.
MBTIは,スイスの心理学者・精神分析医のカール・G・ユングが提唱した心理学的類型のなかで提唱した性格類型論,タイプ論をベースに発展させたもので,キャサリン・クック・ブリッグスとイザベル・ブリッグス・マイヤーズの親子により体系立てられました.
MBTIで性格タイプを診断することによって,自己理解ひいては他者理解が深まり,公私ともに日々のコミュニケーションを円滑に進めることができます.
コミュニケーションでこんな経験をしたことはないでしょうか?自分ではわかりやすく説明しているつもりなのに全然相手に理解してもらえない.逆に相手が親身になって話してくれているのに何が言いたいのか理解できない.意思疎通がうまくできずイライラした.誰もがいく度となく経験していると思います.それもそのはずで私たちは同じ言語を使っていますが,性格タイプごとに理解しやすい言語(性格言語)があります.例えば,ロジックを重視するのか,感情を重視するのか.時系列順に詳細まで聞きたいのか,まず結論を先に聞いて要点をつかみたいのか.などです.
MBTIはこのようなディスコミュニケーションを避けるのに一役買う手法です.
また以下のような目的でも使われます
- 自己理解と自己成長
- キャリア開発
- コミュニケーション/相互理解
- チームビルディング
- マネジメント/リーダーシップのトレーニング
- 問題解決/課題解決
- 教育者のトレーニング
- 異文化理解
ユングの性格類型論:タイプ論とは?
ユングが提唱したモデルであるタイプ論では,人の性格は心のエネルギーの方向性(2通り)・情報の取り入れ方である知覚機能(2通り)・情報を整理して結論を出す判断機能(2通り)の組み合わせで計8種類に分類されるとしました.
ここでいう内向・外向とは,一般的に使われる「あのひと外向的/内向的だよね」とは意味が異なります.自分の心のエネルギーが皮膚を境界としてどの方向へ向かっているかを示します.外向であれば心のエネルギーは外界から摂取され,内向であれば内省したり,記憶をたどったりして自分の内側から摂取します.例えば,電車で移動している際に,窓の外の景色を見たり向かいの人の人間観察をしたりしているのであれば外向の可能性が高く,自分の中であれこれ思案を巡らせているのであれば内向かもしれません.
イザベルとブリッグスが発展させたタイプ論:MBTI
MBTIとは,ユングのタイプ論に外界への態度(2通り)を加え16タイプに分類するモデルです.外界への態度は,自分の外側から情報を取得する際に知覚機能と判断機能のどちらを使っているかという指標です.
MBTIの4指標
MBTIには上図のように4つの指標があります.方向・知覚・判断・態度.これらについてひとつずつ概要を解説します.
まず,方向とは前述のとおり,内(I)と外(E)のどちらに関心を向けていて,どちらから心のエネルギーを得ているかを表します.
次に知覚機能は直観機能(N)と感覚機能(S)に分かれ.どのように情報を取り入れることを好むかを表します.直観機能を好む人は物事の全体像から関係性やパターンに注目して情報を取り入れて,可能性があるかどうかに目を向けます.感覚機能を好む人は自分の周囲で起こっている事実から情報を摂取し,具体的なことに目を向けます.
判断機能は,思考機能(T)と感情機能(F)に分かれ,どのように結論を導き出すのを好むかを示します.これは文字通りなのでわかりやすいと思います.
態度は,外界とどのように接することを好むかを表した指標です.知覚的態度(P)と判断的態度(J)に分かれます.知覚的態度を好む人は,できるだけ制約を受けずに柔軟に行動できる状態を好みます.判断的態度を好む人は,計画や秩序を重んじその通りに行動していくことを好みます.
この四つの指標の組み合わせで以下の16タイプに分類されます.
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